練る子は育つ

都内のIT企業で働く28歳女性。読書、音楽、ゲームの記録

「愛と哀しみのシャーロック・ホームズ」観劇感想

三谷幸喜監督による舞台「愛と哀しみのシャーロック・ホームズ」を観てきた。
一般発売でチケットをとれなかった(発売日をうっかり失念しており、気づいたときには売り切れていた)んだけど、幸運なことに機材席の開放があったのでそちらで無事ゲット。
一番後ろの列ながらほぼ真正面で、じゅうぶんに見やすい席でした。
いちホームズファンとして観に行きましたが、ファンにはわかる仕掛けがありながらも原作を知らずとも楽しめる、絶妙なバランスだったと思います。

 

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公演日:9/15(日)昼の部
場所:世田谷パブリックシアター
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舞台セットは221Bの部屋1つのみ、会話で展開される謎

物語の舞台は、シャーロックホームズシリーズ1作目「緋色の研究」の、その前のお話。
シャーロックは20代という設定です。若さゆえか、破天荒というよりワガママ?子供っぽい?感じ。
その人間っぽさが、この舞台の一つの魅力でした。


驚いたのが、舞台セットの転換がなかったこと。
通常場面転換ごとにセットも多少変わるものだと思っていたんだけど、今作はあのホームズ&ワトソンが暮らす部屋「221B」のみ。


転換がないゆえに、回想シーンも時間の経過もすべて会話と照明だけでの表現。
広瀬アリスによる「自転車で追いかけられる」シーンも、語りとフリのみで再現されていました。
想像力を試されつつも、グッと物語に入り込めて面白かったなあ。


舞台セットは、座席が遠かったので細かくは見えなかったけど、たぶん私がロンドンで見たシャーロックホームズ博物館の部屋と同じような感じだったと思う!
クラシカルな雰囲気が出ていて素敵だった。細か〜く作り込まれていたのでもっと近くで見たかったなあ。


佐藤二朗の"お父さん的"ワトスン、ハマってる!

ワトスン役が佐藤二朗さんと知ったとき、「え、 ホームズの相棒というより"お父さん"的な立ち位置になっちゃうじゃん」とちょっと不安になった(見た目的に)。
というのも私のなかでワトスン君のイメージは「BBCSHERLOCK」のマーティンフリーマンだったので。
三谷さんいったいどう調理するんだろうか~と思ってたんですが、心配はまったくの杞憂で、蓋を開けてみると「こういうワトソン像もあるな」とかなりしっくりきました。


その理由のひとつには、丁寧な導入にあると思います。
はじめに「じつは原作ではワトスンの年齢って明らかになってないんだよねー」とプロローグ的なナレーションが入ります。
私は勝手にホームズとワトソンは対等な存在だと思ってたんだけど、「あ、原作の余白によってワトソンの年齢はいかようにも解釈できるのか」と納得。
そのままスーッと「若きホームズ」と「それを見守るワトスン」というキャラ設定を受け入れることができました。


佐藤二朗さんというとなんとなくコメディ路線なイメージが強く、たしかに今作でも和ませ系というか、ボケというか、そんな立ち位置ではあった。
けれど、若くて感情的で子どもっぽいホームズを見守る姿勢が温かくて父親的で、「ホームズをそばで支える」というワトソンの役割が思いのほかピタリとハマっていた。そんな佐藤二朗さんのもとで成長していくシャーロックくん。。

 

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これぞ三谷幸喜節、というべきか、コメディタッチで進みながらも微笑ましく見守ってきたからこそドキッとさせられる展開とか、感動的なシーンもあったりで面白かったです。
原作シャーロックともBBCのSHEROCKとも設定が違ったけど、こういう世界もありだなあと思いつつ、
どんな見せ方でも魅力的になる「シャーロック・ホームズ」と作品の強さをしみじみと感じたのでした。

 

グッズもたくさんあったよ。

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