練る子は育つ

都内のIT企業で働く28歳女性。読書、音楽、ゲームの記録

本屋大賞

本屋大賞2019ノミネートの全10作を読んだ

2019年の本屋大賞ノミネート作品を全部読みました!小説ごとに感想記事も書いたのでまとめつつ、(予想ではなく)あくまで個人的なランキングもつけておきます。 個人的なランキング 1.『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ(文藝春秋) 2.『さざなみ…

やさしい"思い出"の短編集/木皿泉「さざなみのよる」感想

ガンに侵されたナスミ視点の、死の間際から始まる物語。彼女の「ぽちゃん」という呟きをきっかけに"さざなみ"のように広がる、「思い出」の短編集です。肉体は亡くなっても、人の心に残り続けるナスミの言葉や行動。彼女が素敵な女性だったことが、さまざま…

オタク賛美な物語/三浦しをん「愛なき世界」感想

感想を一言で表すならば…純粋!!!まっすぐすぎる愛の物語でした。一つの物事にグッと入れ込む"オタク"を、認めて受け入れてかつ背中を押してくれるような、アツくてやさしい世界が広がっています。 本屋大賞2019ノミネート作品。 愛なき世界 (単行本) 作者…

人を"紡ぐ"医療ミステリ/知念実希人「ひとつむぎの手」感想

知念さんの作品を読むのは「崩れる脳を抱きしめて」に続いて2冊目です。作者ご自身も内科医とのことで、舞台はお得意の医療現場。こういった専門的な分野を扱う小説はたいてい、難しくて流し読みになっちゃうんだけど、知念さんの文章はカジュアルにさらっと…

譲れるものと、譲れないもの/小野寺史宜「ひと」感想

「『ひと』こそ、大事にすべき」なんて言葉は色々な場面で聞くけど、今作の主人公である聖輔を通すと不思議と腑に落ちた。淡々と進む物語の中で生きる、人と人との温かさが身に染みる。 本屋大賞2019ノミネート作品。 ひと 作者: 小野寺史宜 出版社/メーカー…

抜け出せない物語/森見登美彦「熱帯」感想

「最後まで読んだ人間がいない」という小説「熱帯」を巡る物語。森見登美彦の世界はただでさえ独特なのに、今作は物語の構造や空間までフワフワしているので、自分がいま何を読んでいるのか見失う場面が多々あった。読み終わったあとは思わず最初に戻ってし…

何が正義か/深緑野分「ベルリンは晴れているか」感想

「このミステリーがすごい!2019年版」で国内編第2位を獲得、直木賞の候補にもなった本作。舞台は戦後のドイツなんだけど、いや、重たい重たい。「幕間」として描かれるヒロイン・アウグステ(とその家族)の過去は、ナチス政治下の真っ只中なんだもん。描写…

ちょっと変わった家族の、優しい物語/瀬尾まいこ「そして、バトンは渡された」感想

めちゃくちゃよかった~~!!暫定で今年の読了本1位です。最後は感動して涙が止まらなかったよ…小説で泣いたの久々。読み終わった後は清々しく穏やかな気分になります。温かくて優しい物語なので、安心して読んでください。 本屋大賞2019ノミネート作品。 …

双子のヒーローと、悪と/伊坂幸太郎「フーガはユーガ」感想

本屋大賞2019ノミネート作品。伊坂さんの小説は15作ほど読みました。先日読んだ「砂漠」は、心に清々しさが満ち溢れる素敵な作品だったし、陽気なギャングシリーズや殺し屋シリーズに出てくる"一般的な悪モノ"たちも愛せるし。で、今作は…思ったより重たくて…

"愛にとって、過去とはなんだろう"/平野啓一郎「ある男」感想

平野さんの作品を読んだのは「マチネの終わりに」 以来2度目。共通して感じたのは、粛々とした文体と哲学的なテーマで重厚感がありつつも、ストーリーはキャッチーでわかりやすく読みやすいなーと。「ある男」、面白かったです。 本屋大賞2019ノミネート作品…

ホラー苦手だけど昼間だったら読めた/芦沢央「火のないところに煙は」感想

芦沢央さんの「火のないところに煙は」。王様のブランチで取り上げられるなど、ずーっと気になってはいたものの…「ホラー」であると聞いて、怖いものがまったくダメな私は手を出せずにおりました。 今回「本屋大賞2019」にノミネートされたのをきっかけに、…

本屋大賞2019ノミネート作品一覧(kindle)

2019年の本屋大賞ノミネート作品が発表された~。 2019年本屋大賞のノミネート作品が決定「フーガはユーガ」など - ライブドアニュース 今年も全部読みたいので、電子オンリーな自分用にメモ。調べたところ、知念実希人さんの「ひとつむぎの手」のみkindle化…

2018年本屋大賞:個人的な感想総括

2018年4月10日、本屋大賞が発表されましたね~。 大賞は辻村深月さんの「かがみの孤城」。納得です。超面白かったもん。 2018年本屋大賞のすべての順位はこちら。1位「かがみの孤城」辻村深月/ポプラ社2位「盤上の向日葵」柚月裕子/中央公論新社3位「屍…

本屋大賞ノミネート:今村夏子「星の子」感想

2018本屋大賞ノミネート作品。 超超超超超よかった!!これは読んだほうがいいです。 星の子 作者: 今村夏子 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2017/06/07 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (11件) を見る 主人公・林ちひろは中学3年生。出生直…

本屋大賞ノミネート:原田マハ「たゆたえども沈まず」

2018年本屋大賞ノミネート作品。 原田マハさんといえば「暗幕のゲルニカ」「楽園のカンヴァス」など美術をテーマにした作品が魅力的。今作「たゆたえども沈まず」は、ゴッホ兄弟と日本人美術商のストーリー。 たゆたえども沈まず 作者: 原田マハ 出版社/メー…

本屋大賞ノミネート:知念実希人「崩れる脳を抱きしめて」感想

本屋大賞2018ノミネート作品。 ラノベ文脈で、読みやすいっちゃ読みやすかったけど…。恋愛ミステリ。 崩れる脳を抱きしめて 作者: 知念実希人 出版社/メーカー: 実業之日本社 発売日: 2017/09/15 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (4…

本屋大賞ノミネート:村山早紀「百貨の魔法」感想

2018年本屋大賞ノミネート作品。 タイトル通り、百貨店を舞台にしたお話。エレベーターガール、コスメカウンター、靴屋など、百貨店で働く人々にフォーカスした短編集。 百貨の魔法 作者: 村山早紀 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2017/10/05 メディア: …

本屋大賞ノミネート:塩田武士「騙し絵の牙」感想

本屋大賞2018ノミネート。俳優の大泉洋を、主人公・速水に「あてがき」したという作品。 表紙だけじゃなくて、挿絵としても写真が出てきます。びっくりした。私は「あてがき」された小説を初めて読んだんだけど(そういう手法があるのも知らなかった)、正直…

本屋大賞ノミネート:柚月裕子「盤上の向日葵」

本屋大賞2018ノミネート。 将棋の世界を舞台にしたミステリ小説。将棋の知識ゼロでも面白く読めます。 盤上の向日葵 作者: 柚月裕子 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/11/07 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 埼玉県天木山山中で発…

本屋大賞ノミネート:伊坂幸太郎「AX アックス」感想

本屋大賞2018ノミネート作品。殺し屋シリーズ3作目。 相変わらずの伊坂節で、テンポよくぐんぐん読み進められた。安定。 AX アックス 作者: 伊坂幸太郎 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/07/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (11件) を見る …

本屋大賞ノミネート:辻村深月「かがみの孤城」感想

本屋大賞2018ノミネート作品。 去年から「著者最高傑作」などと話題になってて気になってはいたものの、辻村作品はたまにダーク(でちょっとホラー)なものがあるので、体力あるときに読もう…と寝かせてました。 結論、めちゃくちゃよかった。読んでよかった…

本屋大賞ノミネート:今村昌弘「屍人荘の殺人」感想(途中ネタバレあり)

2018年の本屋大賞ノミネート作品。「屍人荘の殺人」の感想です。デビュー作にして、続々と受賞しているミステリ界での話題作!面白かった。 屍人荘の殺人 作者: 今村昌弘 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2017/10/12 メディア: 単行本 この商品を含むブ…