「シャーロック・ホームズの冒険」感想
今更ながらシャーロック・ホームズシリーズを読み進めているのですが、「シャーロック・ホームズの冒険」が超面白かったので感想を。
シャーロック・ホームズの冒険―新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)
- 作者: アーサー・コナン・ドイル,日暮雅通
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/01/01
- メディア: 文庫
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全体
「シャーロック・ホームズの冒険」は、刊行順でいうとシリーズ3作目。
12作品が収録された短編集です。
これまでの2作「緋色の研究」「四つの署名」は長編だったので短編を読むのは初めてだったんだけど、いろんな角度から、ホームズの鋭い推理をサクサク楽しめたのがよかった。
加えて、ホームズとワトソンの距離もぐっと縮まっていて、二人のやりとりも作品の魅力になっていた。
何より、日暮雅通さんの翻訳がめちゃくちゃ読みやすい!
「緋色の研究」だけは新潮社で読んだんだけど、正直すご~く読みにくくて…
「四つの署名」を光文社で読んだところ「あれ、意外と読みやすい?」と思い、
今作も続けて光文社(日暮雅通さん)ので読んだところ大当たり。
海外文学特有のまどろっこしい文章じゃないので頭に入ってきやすいし、注釈も丁寧についているのでおすすめです。
収録作品
赤毛組合
花婿の正体
ボスコム谷の謎
オレンジの種五つ
青いガーネット
まだらの紐
技師の親指
独身の貴族
緑柱石の宝冠
ぶな屋敷
特に好きな作品
ホームズが「あの女性」と呼ぶ唯一の女性、アイリーン・アドラーが出る回です。
こんな文章で始まります。
シャーロック・ホームズにとって、彼女はつねに「あの女性」である。ほかの呼びかたをすることは、めったにない。ホームズの目から見ると彼女は、ほかの女性全体もくすんでしまうほどの圧倒的存在なのだ 。
②まだらの紐
スリル満点な作品。世間的にはトリックが評価されているようですが、私としては二人の掛け合いが最高だと思いました。
「今夜きみを連れ出すのは、ちょっとためらっているんだ。身の危険があることははっきりしているからね」「ぼくでも役に立つことはあるかい?」「きみがいてくれれば大いに助かるさ」「だったら、ぜひとも行くよ」「そいつはありがたい」
心から信頼しきっていることが伺えます。
そして深夜、二人が息をひそめて「犯人」と対峙する緊張の瞬間がよかった。
③独身の貴族
レストレード警部にはお手上げの事件でしたが、蓋を開けてみればなんの変哲もない「男女のいざこざ」。
視点をちょっと変えるだけでするすると謎が解けるのが面白かった。
事件についての参考情報を新聞記事で集めながら、「はっきりしない記事ばかりなんだよ」とぼやくワトソンに対して「二人で考えれば、いくらか補える」と答えるホームズ。最高のバディだな。
「殺人」が起こらなくてもミステリーって楽しめるんだな~と気づけた短編集でした。
次は4作目、「シャーロック・ホームズの回帰」を読もうと思います。