練る子は育つ

都内のIT企業で働く28歳女性。読書、音楽、ゲームの記録

面白すぎたので、ドラマ「アンナチュラル」の感想

ふだんドラマはほとんど観ないのですが、1-3月クールのTBSドラマ「アンナチュラル」は全話観てしまいました…。

1話からの伏線を綺麗に回収し着地した最終回も超よかった。

感想をメモ。

 

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www.tbs.co.jp

 

脚本が「逃げ恥」の野木亜紀子さんであることと、主演が石原さとみさんということで"とりあえず"観た第1話。まずは「失恋ショコラティエ」のようなブリブリキュートでも「校閲ガール」のようなファッショナブルでもない、真面目でナチュラルな石原さとみの可愛さに感動し、市川実和子との「シン・ゴジラ」タッグでのテンポ良い会話劇にぐいっと心を掴まれた。死因や犯人候補が二転三転し、視聴者の予想を何度も裏切る構成やスピーディな展開が面白くて、あっという間の1時間だった。

 

まさかの展開にドキドキが止まらなかった第5話「死の報復」

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特に印象に残っているのは、第5話。この回の解剖依頼主は、恋人・果歩の死を「自殺」とされた巧。入籍したてで幸せの絶頂にいたはずの二人だったので、このタイミングでの自殺はありえないと、巧が死因に疑問を持つところから物語は始まる。

UDIラボによる解剖の結果などを踏まえて、最終的には「他殺」、さらに殺人犯は果歩の同僚であることがわかる。動機は「果歩が幸せそうだったのが気に食わなかったから、ちょっと背中を押したら海に落ちちゃった」というクズすぎ案件。でも、そういうところから殺意の種って芽生えるんだろうな、みたいな、リアルさもある。ただし、殺人犯の動機の深堀はしない。これはこのドラマで貫き通された姿勢で、最終回でミコト(石原さとみ)が言ったように「不幸な生い立ちなんて興味はないし、動機だってどうだっていい」のだ。大事なのは「残った人がどう生きるか」。

さて、果歩が犯人であることを知った巧は彼女に会いに行く。復讐するつもりで。

恋人を殺された主人公が犯人を殺しにいくという、この展開は正直よくある(し、UDIに属する法医学者・中堂とも重なる)。巧はサッとナイフを取り出し、果歩を追い詰め、それをみたミコトが「まだ間に合うから!」と声をあげる。「間に合う」と言われ、巧の頭をよぎるのは恋人の笑顔。ここで思いとどまるのかと思いきや、ナイフは勢いよく振り下ろされるのである。

まさか。本当に刺しちゃうなんて。びっくりした。

これまでのドラマだったら絶対、ミコト(ヒロイン)のセリフによって、ナイフを手放していたと思う。私も心のどこかで、「どうせ刺さないんでしょ〜」という気持ちはあった。

「自分の人生の全てだった」恋人はもう戻ってこない。だから自分のこの先の人生に希望はないし、自分の人生がどうなるかなんてどうでもいい。この悲しみや怒りをぶつけられる犯人が目の前にある。そんな状況なら確かに、あの場で刺しちゃうのは当然なのかもしれない…。私でもそうするかも。。などゾクゾクしたのが第5話でした。

 

重すぎてしんどかった第7話「殺人遊戯」

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「いじめ」がテーマだった第7話。ミコトの弟・秋彦の塾の生徒である白井が、「殺人者S」と名乗り、自分が殺したと言うYの遺体をライブで配信。ミコトにYの死因を究明しろと挑戦状を送りつけてくるという内容。

白井くんは、Yとされた横山くんの友達。横山くんはいじめを苦に自殺した。この死因がわかるか?と挑発してくる白井くんに対して、ミコトははっきり、「法医学的には刃物による自殺」だけど「法律ではさばけない、いじめという名の殺人」と断言する。ミコト、よく言った!

「殺人」と言ってもらえてホッとしたような白井くんだけど、横山くんを助けられなかったことに責任を感じており、半ば自暴自棄的に自殺しようとする。そんな彼にミコトは「死んでも意味ない」「加害者は被害者の苦しみなんか忘れて生きていくんだから」と投げかけるところがよかった。いや、本当にそうだよなあー、と私もテレビの前で頷いた。

この回でしんどかったのは、横山くんと白井くんの過去の回想シーン。白井くんは「遊びで」、横山くんと自殺の仕方を考えていた。それが、本当に実現されちゃうなんて。しかも、いじめ加害者に罪を着せるつもりで立てていた計画なのに、不幸なことに加害者たちが「万引き」で捕まったことにより、横山くんが自殺する時間帯に彼らにアリバイができてしまうのである。。それをなかったことにしないために、決死の覚悟で「殺人遊戯」を実施した白井くんの思いたるや。重たくて、しんどくて、涙が出そうになった。大切な人を亡くしている中堂が白井くんのもとへ駆けつけるシーンで救われた。


"考察ツイート"で楽しみ倍増

アンナチュラル放送後、毎週Twitterに「アンナチュラル考察班」が現れた。おかげさまで、「#アンナチュラル」でツイートを追うと、「あ〜そういう意味か!」と発見がたくさんあった。たとえば第8話のサブタイトル「殺人遊戯」は、白井くんのライブ配信のことだけじゃなく、彼らが「遊びとして」企てていた自殺の意にもかかってきている、とか。第1話と最終回のシーンがいくつかリンクしている、とか。第3話で結局「女法医学者としては」勝てなかったミコトが、最後にきっちり勝つ展開、とか。対比構造、伏線回収、ダブルミーニング…、このドラマに散りばめられたたくさんの要素を、きちんと発見できる視聴者が多かったからこその楽しさもあった。

そういえばこれは、ドラマ「カルテット」を観ていた私にとってデジャヴする光景だった。カルテットで一番すごかったのが、「時系列が違う説」「時間が巻き戻っている説」などがTwitterでぶわっと拡散されたとき。その結果、番組公式アカウントから「制作側のミスです、時系列は変わっていません」と訂正ツイートがされたという異例の事態を思い出す。懐かしい。

 

アンナチュラルは「法医学ミステリ」なので、そのカテゴリ構造柄、伏線が貼られて回収されるのは当然とはいえ。ドラマ見たあとにツイッター見ることで2度楽しめた感じだったな。

 

何より、中堂系がかっこよすぎた

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クール系。口悪い系。仕事を淡々とこなす系。闇深い系。一途系。井浦新さん、めちゃくちゃかっこよかったです。あのボサボサの髪型までよかったもんね。「恋人を殺された」「殺された恋人の遺体を解剖した」という壮絶な過去の持ち主。でも、だんだんとUDIメンバーに心を開いていく様子も楽しみの一つだった。

第3話のスーツ(喪服説あり)姿が似合いすぎていて最高でしたね。神回!

 

ちなみに葬儀屋の木林さん(最後黒幕説出てたけど、結局ただ怪しかっただけのひと)もイケメンでした。。この画像最高すぎ。

 

 

全話、面白かったです。最終回もすっきりしました。ありがとう!第二シーズンも期待してます。