2018年「読了本」ベスト10
2018年は本を【80冊】読みました。せっかくなのでベスト10をまとめておきます。今年は超今更ながらシャーロックホームズシリーズにハマり、一気に全作読み漁ってしまいました…。なぜ今まで読んでなかったんだ。
1.アンソニー・ホロヴィッツ/カササギ殺人事件
ミステリ年末ベストテンでまさかの4冠…つまり「このミステリーがすごい!」「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「本格ミステリ・ベスト10」の4タイトルすべてで1位を獲得するという異例の実力作品。
本当~~に面白かった。作中作含めて楽しめる、二度美味しい作品。読み終えたあとは思わず上巻の最初に戻ってしまいます…。絶対に先入観なしで読むべき。あと、上巻読み終わったらすぐ下巻読みたくなるので、必ずセットで買うべき!
何より、作者のミステリへの愛やリスペクトが随所に感じられたのが最高だった。「作品を読みつづけるのは、わたしたちがその探偵を信頼しているからだ」「ミステリとは、真実をめぐる物語である」…共感しかない。クリスティやシャーロック好きはもちろん、全ミステリ好きにおすすめしたい。この小説に出会えてよかったー。
2.柳広司/ジョーカー・ゲーム
スパイ養成学校「D機関」を舞台に繰り広げられる連作短編集。ミステリは大好きながらスパイものって読んだことなかったんだけど、アニメ化や舞台化もされている人気コンテンツです。 登場人物たちが繰り広げる頭脳戦や、敵を欺いて裏を出し抜くプランが痛快。クールでクレバーなスパイたちが魅力的!スピーディで緊張感溢れる展開にぐいぐい読まされ、シリーズ全4作を読み切ってしまいました。ボス・結城中佐が強すぎてかっこいい~。アニメもイケメン揃いでよかった。
3.ピーター・スワンソン/そしてミランダを殺す
空港で見知らぬ美女に話しかけられ、自分の妻の殺害計画を一緒に企てる…というミステリアスな冒頭。初めから一気読み必須!"狩る側"と"狩られる側"によるめくるめく展開に圧倒され、章の終わりごとに「えっ」と驚くこと間違いなし。登場する男女4人の攻防にハラハラが止まらないミステリです。悪くて賢い美女二人、絶対映えると思うので、ぜひ映画化してほしい!!
4.辻村深月/かがみの孤城
文句なしの、本屋大賞第1位受賞作。学校に行けず部屋に閉じこもっていた「こころ」は、ある日突然「鏡の中の世界」に行けるようになる…、というお話。ファンタジーと現実とのバランスが絶妙で、読み終わったあとはふわっと心があたたまる、さすがの辻村ワールドです。 いつか自分に子供ができたら、そっと本棚に忍ばせておきたい一冊。
5.コナン・ドイル/シャーロック・ホームズの冒険
シャーロック・ホームズの冒険―新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)
- 作者: アーサー・コナン・ドイル,日暮雅通
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/01/01
- メディア: 文庫
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今更ながらホームズにハマるという。きっかけはBBCのドラマ「SHERLOCK」をNetflixで観たのが始まり…。あまりの面白さに、原作(全9作)をすべて一気読み。刊行されている作品が意外と少ないのと(ポワロ並みにあると思ってた)、あと9作中5作が短編集というのも知らなかった。この「シャーロック・ホームズの冒険」も短編集で、ホームズが唯一"あの女性"と呼ぶアイリーン・アドラー出演の「ボヘミア王の醜聞」や、ホームズ&ワトソンの信頼しきったバディ関係を垣間見れる「まだらの紐」などが収録されています。短編集はどれも面白くて甲乙つけがたいけども…。ちなみに長編の中では「パスカヴィルの犬」が一番好きでした。光文社さんの訳、超読みやすいよ。
6.近藤史恵/タルト・タタンの夢
町のフレンチレストラン「ビストロ・パ・マル」を舞台にした、短編ミステリ集。 近藤史恵さんらしく「日常の謎」を盛り込んだ作品で、シェフ・三舟が、客たちの日常の小さな謎を鮮やかに解いていくさまが美しい。美味しそうな料理の描写も相まって、時を忘れて読んでしまいます。「読書したいけど何読んだらいいかわかんない」「あまり重たいのは読みたくない」という方にぜひおすすめしたいシリーズ。
7.有栖川有栖/インド倶楽部の謎
13年ぶりの「国名シリーズ」新作!私は有栖川有栖さんの大ファンなので、下北B&Bで行われたトークショーにもばっちり参加してきました。"自分の運命が見える"…的なアヤシイ集まり「インド倶楽部」。そのメンバーたちを取り巻く事件が起こるのですが…。無神論者の火村がこんなふわふわしたサークル相手にどう切り崩していくのかとヒヤヒヤしながら読み進めたけど、人物が丁寧に描かれていたので着地も納得です。ホームズ役の火村とワトソン役の有栖の関係がとても楽しいシリーズなので、ホームズファンの人にはぜひ読んでもらいたい!
8.宮下奈津/よろこびの歌
6人の女子高生の視点で代わる代わる語られる連作短編集。おそらくジャンル的には青春小説。宮下奈津さんの持ち味である「やさしさや温かさ」はもちろんのこと、過去に自分も経験したような「表現しにくい心の痛み」が丁寧に丁寧に描写され、「痛みへの共感」と、「それを乗り越えていく作中の女子高生たちの眩しさ」に思わず涙が止まらなかった…。大事なものを失っても、特別なものを持っていなくても、あの人になれなくても、「よく生きる」ことが大切なんだよなあー。
9.アガサ・クリスティ/春にして君を離れ
クリスティなのに、 殺人なし、探偵も警察も出てこないという"奇妙"な作品。話の内容は、主人公ジェーンが悪天候により宿泊先に缶詰になってしまい、そのタイミングで自分の人生をゆっくりと見つめ直す…、ただそれだけなんだけど、異様な恐ろしさが…。愛する家族への、「よかれ」と思ってしてきた数々の行為がもしかしたら自己欺瞞で、見たくないことには蓋をして逃げて生きてきたのではないか…みたいな。読みながら、私ももしかして、とゾッとした。関係ないけどタイトルが素敵。
10.今村夏子/星の子
本屋大賞と芥川賞にノミネートされていた本作。新興宗教にハマった両親の様子を娘視点で描かれる物語で、テーマは重たいけど主人公が小学生(のフラットな視点)だからか意外と読みやすい。読後に広がる、なんともいえないゾクゾク感がかなり快感…。お互いに見ている方向は同じでも、見えるものは違うんだよなあ。「自分の『普通』を基準とした場合の違和感」が溢れる作品です。
以上が全10冊です。
うーん、次点で、恩田陸「ネバーランド」、芦沢央「悪いものが、来ませんように」、薬丸岳「Aではない君と」あたりが並ぶかな。とにかく今年も面白い本にたくさん出会えました。ちなみにマンガは「ACCA」が好きでした。
来年の目標は100冊かなー。
*上半期のベスト5はこちら。