練る子は育つ

都内のIT企業で働く28歳女性。読書、音楽、ゲームの記録

2017年読了本ベスト3

2017年は約60冊読みました。

i.bookmeter.com

 

中でも、面白かった本ベスト3は以下。

 

1.恩田陸蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

 

私はまだ、音楽の神様に愛されているだろうか?ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。著者渾身、文句なしの最高傑作!

 

直木賞本屋大賞をダブル受賞してる作品なので私が勧めるまでもないんだけど。。

物語の主人公たちは、才あるピアニスト。

なので、凡人である私が彼らに感情移入できるかといえばそうでもないんだけど、

じゃなくて、観客として彼らの演奏を見ているような気分になるのがすごい。

音楽なのに、文章なのに、鳥肌が立つ。びっくりした。

コンクールの独特の緊張感を経験したことのある、ピアノとか吹奏楽とかやってた人に特にオススメ。

ただ…物理的に「長い」ので、ふだん本を読まない人にとってはそこが一つハードルかもしれません。

 

2.岡嶋二人クラインの壺」 

クラインの壷 (新潮文庫)

クラインの壷 (新潮文庫)

 

200万円でゲームブックの原作を、謎の企業イプシロン・プロジェクトに売却した上杉彰彦。その原作をもとにしたヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることに。美少女・梨紗と、ゲーマーとして仮想現実の世界に入り込む。不世出のミステリー作家・岡嶋二人の最終作かつ超名作。

 

「ゲームの世界に迷い込む」という、正直今ならありがちなストーリー。

私も読みながら「ソードアートオンラインかな?」って思った。

でもこの作品、何がすごいって、発売されたのが1989年だというところ。

ソードアートオンラインだって流行ったの2000年以降だし、バーチャルゲームなんてない時代にこんな小説があったとは。

スピード感あふれる文章で、スリルたっぷりの飽きがこない展開だから超読みやすい。

物語を読み進めていくにつれて、タイトル「クラインの壷」状態になり、読後は奇書「ドグラマグラ」ばりに混乱します!没入感素晴らしい。

 

 

3.辻村深月「盲目的な恋と友情」 

盲目的な恋と友情 (新潮文庫)

盲目的な恋と友情 (新潮文庫)

 

これが、私の、復讐。私を見下したすべての男と、そして女への――。
一人の美しい大学生の女と、その恋人の指揮者の男。そして彼女の醜い女友達。彼らは親密になるほどに、肥大した自意識に縛られ、嫉妬に狂わされていく。そう、女の美醜は女が決めるから――。恋に堕ちる愚かさと、恋から拒絶される屈辱感を、息苦しいまでに突きつける。醜さゆえ、美しさゆえの劣等感をあぶり出した、鬼気迫る書下し長編。

 

これは…ベスト3に入れたものの、オススメというわけじゃない。

というか私はもう読みたくない。嫌悪レベル。

それくらい、登場人物の思考と行動に背中がゾクッとするし、そこに共感できちゃう部分もあって、めちゃくちゃしんどい。

女子のヒエラルキーってあるじゃん。特に、「美人の隣」っていうポジション、あるじゃん。

美人の隣にいる「認められた」私と、美人の隣にいる「美人じゃない」私、の、自意識のぐちゃぐちゃがエグいです。

 

番外編:カズオ・イシグロ「わたしを離さないで」 

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

 

優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設へールシャムの親友トミーやルースも「提供者」だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度……。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく。

 

ノーベル文学賞を受賞したから読んだ。

丁寧で優しくて、切ない物語でとてもよかった。

序盤から「提供」「介護」という違和感のある単語が並びながらも、主人公たちが友情や恋愛に悩む「ふつうの」学校生活が淡々と描かれる。

読みながらなんとなく、この世界の設定に気づいていくんだけど、あたかもそれが「ふつう」であるかのように種明かしされる構成にびっくりした。

回想の中でも時系列がかなり前後するけど混乱せず読みやすかった。

ミーハー心で読んで正解の小説です。

 

 

 

ミステリクラスタとしての番外編

2017年は麻耶雄嵩の「貴族探偵」のドラマ化を受け、マヤ作品に初めて手を出しました。

マヤ作品はミステリの中でも「異端」とされていたので、新本格が好きな私はちょっと距離を置いていたんだけど、読んでみてわかった。確かに異端。

ありえないでしょ、それミステリでやっちゃダメでしょ、なんでもありになるでしょ、っていう、突っ込みどころ満載の作品が多かったです。

でも、エンタメとしては面白かった。

特に「いやいやいやwwwぐちゃぐちゃやんwww」となったのはこちら↓

 

麻耶雄嵩「翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件」

翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件 (講談社文庫)

翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件 (講談社文庫)

 

首なし死体、密室、蘇る、死者、見立て殺人……。京都近郊に経つヨーロッパ中世の古城を彷彿させるゴチック調の館・蒼鴉城を「私」が訪れたとき、惨劇の幕はすでに切って落とされていた。事件の最中、満を持して登場するメルカトル鮎。そして迎える壮絶な結末!

 

こっちはもはや興ざめレベルのありえない展開。読了後、本を投げたくなる↓ 

麻耶雄嵩「隻眼の少女」

隻眼の少女 (文春文庫)

隻眼の少女 (文春文庫)

 

古式ゆかしき装束を身にまとい、美少女探偵・御陵みかげ降臨!因習深き寒村で発生した連続殺人。名探偵だった母の跡を継ぎ、みかげは事件の捜査に乗り出した―。

 

「隻眼の少女」は第64回日本推理作家協会賞、第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞してるらしい。本格ってなんなんだと頭を抱える。

どちらも、ある程度「一般的な」ミステリ作品を読みなれた人が読んだほうが、楽しめると思います。

 

以上、2018年は80冊を目標に読むぞー。