練る子は育つ

都内のIT企業で働く28歳女性。読書、音楽、ゲームの記録

読書

2019年「読了本」ベスト7

2019年に読んだ本は41冊でした。ゲームとNetflixに時間を使ったため、2018年の半分の冊数しか読めなかったけど、個人的なベスト7をまとめておきます。もう2020年になってしまったけど! bookmeter.com 1.魔眼の匣の殺人/今村 昌弘 2.medium 霊媒探偵城塚翡…

やられたミステリ「medium 霊媒探偵城塚翡翠」/ネタバレあり感想というか反省

面白いミステリを読みました。作品のキャッチコピーは「すべてが、伏線。」さらに綾辻行人さんや有栖川有栖さんからの絶賛コメントや書店員さんによる「最驚」なんてコメントも並んでおり、読む前からハードルあげまくりな本作。「一語一語に意味があるよ」…

舞台「魍魎の匣」が凄まじかった(原作ファンの感想)

京極夏彦原作「魍魎の匣」の舞台を観てきました。6/23(日)の昼公演。前から4列目でセンターブロックだったので、役者さんたちの表情もしっかり見えた〜! 「魍魎の匣」を読んだのは中学生のとき。原稿用紙に黒塗りで書き込まれた久保の小説表現が怖すぎて…

"新鮮"な王道ミステリ/「魔眼の匣の殺人」感想(ネタバレ含む)

「魔眼の匣の殺人」 、めちゃくちゃ面白かった~!!ミステリランキング3冠を達成し、2019年の映画化も決定している「屍人荘の殺人」 の続編です。屍人荘~は「それ使ってくる!?」っていう展開に衝撃を受けたので、今作はいったいどうなるんだろう?と楽し…

本屋大賞2019ノミネートの全10作を読んだ

2019年の本屋大賞ノミネート作品を全部読みました!小説ごとに感想記事も書いたのでまとめつつ、(予想ではなく)あくまで個人的なランキングもつけておきます。 個人的なランキング 1.『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ(文藝春秋) 2.『さざなみ…

やさしい"思い出"の短編集/木皿泉「さざなみのよる」感想

ガンに侵されたナスミ視点の、死の間際から始まる物語。彼女の「ぽちゃん」という呟きをきっかけに"さざなみ"のように広がる、「思い出」の短編集です。肉体は亡くなっても、人の心に残り続けるナスミの言葉や行動。彼女が素敵な女性だったことが、さまざま…

オタク賛美な物語/三浦しをん「愛なき世界」感想

感想を一言で表すならば…純粋!!!まっすぐすぎる愛の物語でした。一つの物事にグッと入れ込む"オタク"を、認めて受け入れてかつ背中を押してくれるような、アツくてやさしい世界が広がっています。 本屋大賞2019ノミネート作品。 愛なき世界 (単行本) 作者…

人を"紡ぐ"医療ミステリ/知念実希人「ひとつむぎの手」感想

知念さんの作品を読むのは「崩れる脳を抱きしめて」に続いて2冊目です。作者ご自身も内科医とのことで、舞台はお得意の医療現場。こういった専門的な分野を扱う小説はたいてい、難しくて流し読みになっちゃうんだけど、知念さんの文章はカジュアルにさらっと…

譲れるものと、譲れないもの/小野寺史宜「ひと」感想

「『ひと』こそ、大事にすべき」なんて言葉は色々な場面で聞くけど、今作の主人公である聖輔を通すと不思議と腑に落ちた。淡々と進む物語の中で生きる、人と人との温かさが身に染みる。 本屋大賞2019ノミネート作品。 ひと 作者: 小野寺史宜 出版社/メーカー…

抜け出せない物語/森見登美彦「熱帯」感想

「最後まで読んだ人間がいない」という小説「熱帯」を巡る物語。森見登美彦の世界はただでさえ独特なのに、今作は物語の構造や空間までフワフワしているので、自分がいま何を読んでいるのか見失う場面が多々あった。読み終わったあとは思わず最初に戻ってし…

何が正義か/深緑野分「ベルリンは晴れているか」感想

「このミステリーがすごい!2019年版」で国内編第2位を獲得、直木賞の候補にもなった本作。舞台は戦後のドイツなんだけど、いや、重たい重たい。「幕間」として描かれるヒロイン・アウグステ(とその家族)の過去は、ナチス政治下の真っ只中なんだもん。描写…

ちょっと変わった家族の、優しい物語/瀬尾まいこ「そして、バトンは渡された」感想

めちゃくちゃよかった~~!!暫定で今年の読了本1位です。最後は感動して涙が止まらなかったよ…小説で泣いたの久々。読み終わった後は清々しく穏やかな気分になります。温かくて優しい物語なので、安心して読んでください。 本屋大賞2019ノミネート作品。 …

双子のヒーローと、悪と/伊坂幸太郎「フーガはユーガ」感想

本屋大賞2019ノミネート作品。伊坂さんの小説は15作ほど読みました。先日読んだ「砂漠」は、心に清々しさが満ち溢れる素敵な作品だったし、陽気なギャングシリーズや殺し屋シリーズに出てくる"一般的な悪モノ"たちも愛せるし。で、今作は…思ったより重たくて…

"愛にとって、過去とはなんだろう"/平野啓一郎「ある男」感想

平野さんの作品を読んだのは「マチネの終わりに」 以来2度目。共通して感じたのは、粛々とした文体と哲学的なテーマで重厚感がありつつも、ストーリーはキャッチーでわかりやすく読みやすいなーと。「ある男」、面白かったです。 本屋大賞2019ノミネート作品…

ホラー苦手だけど昼間だったら読めた/芦沢央「火のないところに煙は」感想

芦沢央さんの「火のないところに煙は」。王様のブランチで取り上げられるなど、ずーっと気になってはいたものの…「ホラー」であると聞いて、怖いものがまったくダメな私は手を出せずにおりました。 今回「本屋大賞2019」にノミネートされたのをきっかけに、…

本屋大賞2019ノミネート作品一覧(kindle)

2019年の本屋大賞ノミネート作品が発表された~。 2019年本屋大賞のノミネート作品が決定「フーガはユーガ」など - ライブドアニュース 今年も全部読みたいので、電子オンリーな自分用にメモ。調べたところ、知念実希人さんの「ひとつむぎの手」のみkindle化…

2018年「読了本」ベスト10

2018年は本を【80冊】読みました。せっかくなのでベスト10をまとめておきます。今年は超今更ながらシャーロックホームズシリーズにハマり、一気に全作読み漁ってしまいました…。なぜ今まで読んでなかったんだ。 ナツミさんの本棚 - 読書メーター アンソニー…

面白すぎるミステリを読んだ/アンソニー・ホロヴィッツ「カササギ殺人事件」感想

アンソニー・ホロヴィッツ「カササギ殺人事件」。今年読んだ本の中で一番面白い小説だった! カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫) 作者: アンソニー・ホロヴィッツ,山田蘭 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2018/09/28 メディア: 文庫 この商品を含む…

「シャーロック・ホームズの回想」感想

シャーロック・ホームズシリーズ第4作目。短編集「シャーロック・ホームズの回想」を読んだので感想を書いておきます。 今作もめちゃくちゃ面白かった…。シャーロックの兄・マイクロフトや、宿敵とされるモリアーティ教授が登場するのもこの作品です。 シャ…

サクッと読めて面白い、近藤史恵「ビストロ・パ・マル」シリーズ感想

とっても読みやすくて面白い小説を今更ながら見つけました。近藤史恵の「ビストロ・パ・マル」シリーズ。 ビストロを舞台にした連作ミステリ短編集で、近藤史恵さんらしく「日常の謎」を盛り込んでいて飽きない。登場人物も魅力的で、出てくるお料理も美味し…

有栖川有栖「インド倶楽部の謎」ネタバレあり感想(トークショーレポ含む)

大好きな有栖川有栖さんの国名シリーズ最新作「インド倶楽部の謎」。 早速読んだ&トークショー(@下北沢B&B)にも行ってきたので、そのレポも含めて感想を書いておきます。 インド倶楽部の謎 (講談社ノベルス) 作者: 有栖川有栖 出版社/メーカー: 講談社 発売…

宮下奈都「よろこびの歌」感想

宮下奈都さんの作品は「羊と鋼の森」「スコーレNo.4」などを読んでおり、文体も心情描写も「やさしい」雰囲気の作者さんだなと思っていた。今回読んだ「よろこびの歌」は、やさしさや温かさはもちろんのこと、過去に自分も経験したような「表現しにくい心の…

「シャーロック・ホームズの冒険」感想

「シャーロック・ホームズの冒険」が超面白かったので感想。

"謎解き好き"にオススメしたい小説、「どんどん橋、落ちた」

館シリーズで知られる綾辻行人の著作、「どんどん橋、落ちた」を読んだ。99年刊行と約20年も前の作品なのに色褪せず、面白かったので紹介したい。 どんどん橋、落ちた〈新装改訂版〉 (講談社文庫) 作者: 綾辻行人 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/02/1…

"読者への挑戦"つき。「体育館の殺人」ネタバレなし感想

「体育館の殺人」読みました。面白かった。以下、ネタバレなし感想です。 体育館の殺人 (創元推理文庫) 作者: 青崎有吾 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2015/03/12 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る ストーリーは至ってシンプル …

2018年上半期のベスト本5冊

2018年上半期は本を【48冊】読みました。なかでも「これは誰かに勧めたい!!この気持ちを共有したい!!」と思った本をメモっておきます。意外と少なくて、5冊。でもこの5冊は本当に面白かった…。 1.柳広司/ジョーカー・ゲーム (角川文庫) スピーディで…

芦沢央「悪いものが、来ませんように」ネタバレ感想

久々に、湊かなえ以来の「イヤミス」に出会ったので感想書いておきます。しかし、まんまと騙されました…!とにかく終始「違和感」があるんだけど、それがなんなのかじっくり考える暇もなく物語がどんどん展開され…このねっとりした「気持ち悪さ」がある意味…

もっと早く知りたかったスパイミステリ/「ジョーカー・ゲーム」感想

「ジョーカー・ゲーム」シリーズが面白すぎて、kindleで出ている3作すべてを一気に読んでしまった。どうしてこんなに面白い作品に今まで出会えなかったんだろう! 本作はスパイ養成学校「D機関」で活躍する「スパイ」にフォーカスした物語。ミステリは大好き…

2018年本屋大賞:個人的な感想総括

2018年4月10日、本屋大賞が発表されましたね~。 大賞は辻村深月さんの「かがみの孤城」。納得です。超面白かったもん。 2018年本屋大賞のすべての順位はこちら。1位「かがみの孤城」辻村深月/ポプラ社2位「盤上の向日葵」柚月裕子/中央公論新社3位「屍…

"スクールカースト"に留まらない、少女たちの友情物語:「マウス」「本屋さんのダイアナ」

めちゃくちゃ良い本を読みました。村田沙耶香「マウス」と、柚木麻子「本屋さんのダイアナ」。 2冊に共通するテーマは「女同士の友情」。…と言葉にすると超薄っぺらく感じるけど。女子同士のあるあるな「共感」と、こんな友人関係できたら素敵だなあという「…